教会での葬儀。
最愛の妻を亡くした男は怒っていました。
身体にピアスを付けてヘソを出した格好で葬儀に参列している孫娘、
弔いの言葉を言い間違える孫、
そして、その言い間違いを面白がる孫たち。
男の2人の息子たちはその様子を見ながら妻を亡くして1人になった父親の今後について話をしています。
神父の挨拶が始まりました。
「まったく、なんてことだ」
男のイライラは募るばかりです。
一人の、一人前の大人を作るためには、どれほど多くの人手が必要なことだろうか。
クリント・イーストウッド演じるウォルト・コワルスキーが隣の家のタオ族の青年であるタオ・ローを一人前の男にするためにその晩年の命を注ぐ物語です。
ちなみに「タオ族」というのは台湾の原住民とのことらしいです。
映画の中に出てくるクラシックカー「グラン・トリノ」と元自動車工のウォルト・コワルスキーは1950年代の古き良きアメリカの象徴として描かれています。
「弱きを助け、強きを挫く」
この映画を一言で表現するならこの言葉がぴったりだと思います。
弱きもの=移民の隣に住む青年であるタオ・ローを朝鮮戦争に従軍した元自動車工のウォルト・コワルスキーがローのいとこのギャングたちから身を呈して守り抜きます。
コワルスキーの家族は徹底的に冷たく、ローのいとこのギャングたちも同情の余地がないくらいに徹底的に悪者でしたので、より一層コワルスキーとローの関係が際立っていました。
観了後にちょっぴり悲しく、同時に心地よい爽快感も残る映画でした。
映画「ミリオンダラー・ベイビー」を観た時も同じようなことを思いましたが、クリント・イーストウッドの作品は何度も観ようとは思いませんが、1回観ただけで強烈なインパクトを残す作品が多いような気がします。
あくまでも個人的な考えですが。
▼作品データ
<原題>
・Gran Trino
<製作年>
・2008年
<製作国>
・アメリカ
<監督>
・クリント・イーストウッド
<上映時間>
・117分
<出演>
・クリント・イーストウッド(ウォルト・コワルスキー)
・ビー・ヴァン(タオ・ロー)
・アーニー・ハー(スー・ロー)
・クリストファー・カーリー(ヤノビッチ神父)