さいはて
ある地点から最も遠く離れており、その先はない様子を指す表現。果ての果て。
4つの短編集です。
1.さいはての彼女
35歳の女社長が退職する秘書から手配された2泊3日の女満別(めまんべつ)でのバカンス。
そこで巡り合ったバイク乗りの女の子との出会いと別れ。
彼女がいるだけで、そこはたちまち春の野原、夏休みの浜辺になってしまうのだ。
2.旅をあきらめた友と、その母への手紙
恋人との別れをきっかけに仕事がうまくいかなくなり、人間関係に疲れた35歳の女性。
友人との旅をくり返すうちに身に起きた心境の変化。
思ったとおりに人生を生きていける人間が、いったいこの世の中にどのくらい存在するだろうか。そして、なぜ自分はそのごく限られた中のひとりなんだと信じることができたのだろうか。
3.冬空のクレーン
13年間勤め上げて、コツコツとポジションを築いてきた会社を敵に回してしまった女性が逃避先で目にした光景。
大きなプロジェクトを動かしている重要な歯車。それが止まればどうにもならないんだ、と思っていた。けれど私は、歯車なんかじゃなかった。歯車を動かしている、他よりほんの少し大きなネジだったのだ。抜けたところで、代用のネジはいくらでもある。歯車はちっとも止まることなく、むしろ円滑に回り続けるのだ。
4.風を止めないで
バイク乗りの女の子の母親に訪れた素敵な出会い。
仕事や人間関係に疲れた女性たちが旅を通して、自分を見つめ直していくというお話と旅を続ける娘を見守る母親のお話です。
バイク乗りの少女とその母親の周りにいるハーレー乗りたちがあまりにも美化されて描かれているような気がして「そんな良い人たちばっかじゃないだろ」と違和感を覚えてしまいましたが、「そうであって欲しい」という著者の願いみたいなものも込められているのではないかと思いました。