【本】下品に落ちることなく、強く生きるにはどうしたらいいか?

私が最初に読んだ佐藤優氏の本は「いま生きる資本論」でした。
友人の勧めで読み始めましたが、正直、友人にこの本を勧められるまで佐藤優氏がどんな人物なのか全く知りませんでした。
で、いざ、読み始めたものの、経済学の知識が全くない私には内容が難解過ぎました。

「ちょっと内容が高レベル過ぎて私には理解不能なんですけど…」

友人にそう伝えるとまず「資本論」の入門編として、池上彰氏と佐藤優氏の対談集である「希望の資本論」という本を読んでみることを勧められました。そして、「希望の資本論」を読んでから「いま生きる資本論」を読んでみるとおぼろげながらではありますが、内容を理解することができました。

「いま生きる資本論」の内容は私にはあまりにも難解過ぎました。ただ、読み進めながら一つだけわかったことがあります。
それは佐藤優氏が「本物の知識人」だということです。



メンタルの強化書


本のタイトルからも分かるようにこの本で佐藤優氏はいまの時代の折れそうになる状況の中で心折れることなく、たくましく生き抜く強さ、しぶとさについて教えてくれます。

佐藤優氏はいまのような変化が激しくプレッシャーやストレスが多い時代で勝ち残っている人は

特異な能力があるか、

遺産のある家に生まれたか、

図太く、図々しい、いわゆる「下品」な人

のいずれかだと述べます。

そして、今の時代を「下品」にならずに生き抜くためには硬い心よりも、しなやかで柔らかな心こそが目指すべき強さであると述べています。

ここで本の内容を簡単にまとめます。

・メンタルを強くするために必要な2つのこと

1.自分自身の考え方や心の構え方を変えること。
2.折れにくい環境を整えるように心掛けること。

・怒りをコントロールする

「人間は行動によって感情を作り出す」という事実から悲しいから泣くのではなくて、泣くから悲しくなり、笑うから面白くなる。

立ち振る舞いをゆっくりと穏やかに、できれば笑顔を作り、怒りをコントロールする。

・宗教的な視点を持つ

宗教的な視点とマルクスのような客観的で合理的な視点の2つのバランスが心折れずにしなやかに強く生きる上でのポイントとなる。

・アソシエーションに属する

できるだけ信頼でき、社会的価値が高いと評価されているアソシエーションに属する。
アソシエーション - Wikipedia

・「いき」の構造から学ぶ

九鬼周三の「媚態」「意気地」「諦め」はこれからの時代を生きるためにとても重要な考え方である。


「媚態(びたい)」

相手の存在を認め、自他の距離と違いを認識しながらも、それを乗り越えようとする積極的な態度のこと。


「意気地(いきじ/いくじ)」

目先の利益や欲望に安易に振り回されない気概、どんなに汚れた世の中であっても、絶対に染まらない部分を持ち続けるという純粋な思い。


「諦め(あきらめ)」

1歩引いた目線で冷静に世の中と向き合う。最低限の努力はしながらも、過大な期待をしないくらいの距離感を持って生きる。