シャーロック・ホームズ、ドクター・ストレンジ、天才数学者など、一癖も二癖もある人物を演じさせたら折り紙付きのベネディクト・カンバーバッチ。
そのカンバーバッチがおそらく世界で一番有名な発明家であるエジソンを演じるということでこの映画を観るのを楽しみしていたのだが、この映画を観るまでエジソンがこんなにも癖のある人物だったとは知らなかった。
ひょっとしたらこの映画を観るとエジソンが嫌いになるかもしれない。正直、私はこの映画を観てエジソンが嫌いになった。それくらいカンバーバッチの演じるエジソンは自己中心的で、わがままで、自己顕示欲の塊のような人物だった。とにかく、エジソンが嫌な奴だったということがよく分かる映画だった。
対象的に、エジソンとの「電流戦争」を制したウェスティングハウスやテスラの方が広い視野と論理的な思考を持ち、時にエジソンとの対決に際して良心の呵責に悩むなど、人間としての器が大きく、この二人の方に好感が持てた。
そもそも、邦題のタイトルの「エジソンズ・ゲーム」というのがイケてない。
この映画はエジソンだけの物語ではない。
アメリカの未来をかけた電気の流れ方をめぐるエジソン、ウェスティングハウス、テスラの三つ巴の闘いである。決してエジソンだけの闘いではない。
原題の「The Current War」の方がこの物語の本質に触れているので、日本での公開もそのままのタイトルの方が良かったのではないかと思う。
とにかく、この映画を観るとエジソンが嫌いになる。嫌いになりたい方はどうぞ。
▼作品データ
<原題>
・The Current War:Director's Cut
<製作年>
・2019年
<製作国>
・アメリカ
<監督>
・アルフォンソ・ゴメス=レホン
<上映時間>
・108分
<出演>
・ベネディクト・カンバーバッチ(トーマス・エジソン)
・マイケル・シャノン(ジョージ・ウェスティングハウス)
・ニコラス・ホルト(ニコラ・テスラ)
・キャサリン・ウォーターストン(マーガリート・ウェスティングハウス)
・トム・ホランド(サミュエル・インサル)
・スタンリー・タウンゼント(フランクリン・ホープ)
・タペンス・ミドルトン(メアリー・エジソン)
・マシュー・マクファディン(ジョン・モルガン)
・コナー・マクニール(ウィリアム・ケムラー)