【映画】バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

大絶賛されている映画でアカデミー賞を始めとする主要な映画賞で数え上げたらキリがないほど各部門でノミネートされ、その多くを受賞している作品である。

私がバードマンと聞いてすぐに思い浮かべるのはバード星からやってきたすわみつおをパーマンにした超人のことだが、もちろんそのバードマンの話ではない。

ショービジネスの世界の話である。


この映画はかつてバードマンというスーパーヒーロー映画で主役を演じて一世を風靡したものの、その後、落ち目となった俳優が、再起をかけてブロードウェイに進出する物語である。

大絶賛されている映画だが、率直に感想を言ってしまうと私はあまり面白くなかった。

確かにマイケル・キートンの演技は素晴らしいし、ショービジネスの世界を描きつつ、そのショービジネスの世界を風刺している作品であることも分かる。

だが、私にはこの作品が仕事や私生活がうまくいかな過ぎてちょっと頭のおかしくなりかけているおじさんがとうとう極限まで精神的に追い詰められて幻覚や幻聴に襲われることになってしまうという話にしか思えなかった。

理由は簡単である。それは私がショービジネスの世界で生きている人間ではないからである。

劇中でやたらと「プレビュー」という言葉が出て来るのでどういう意味なのかを調べてみた。

すると、プレビューとは本公演の前のリハーサル的な試験公演のことで、欧米の舞台演劇では事前に通常2〜3週間ほどの試験公演を行い、観客や批評家の反応を見ながら細部を調整して舞台の完成度を高めてから本公演を行うらしい。

こういう制度のことを当たり前のこととして知っているショービジネスの世界で生きている人間から観たら、きっととても面白い作品なのだろう。

なぜなら、おそらくこの映画を大絶賛している人の大部分はショービジネスの世界で生きている人間だからだ。

だが、そういう華やかな世界で生きていない私みたいな一般庶民の感覚からはあまりにもかけ離れていて、感情移入して観ることがかなり難しい作品だった。

▼作品データ
<原題>
・Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)
<製作年>
・2014年
<製作国>
アメリ
<監督>
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
<上映時間>
・120分
<TOMATOMETER>
・91% ※2021年10月25日時点
<出演>
マイケル・キートン(リーガン)
ザック・ガリフィアナキス(ジェイク)
エドワード・ノートン(マイク)
アンドレア・ライズボロー(ローラ)
エイミー・ライアン(シルビア)
エマ・ストーン(サム)
ナオミ・ワッツ(レイジー
<第87回アカデミー賞
・作品賞
・監督賞
脚本賞
・撮影賞