ウクライナへの軍事侵攻で世界中から避難を浴びているロシア。
そのロシアが生んだ世界的な作家ドストエフスキー。誰もが一度くらいは名前を聞いたことがあるかもしれない。
2021年はドストエフスキーの生誕200年にあたるそうで、この本はその年に行われた佐藤優氏の講演を活字化したものである。
佐藤優氏によると今だに世界中の人びとから読まれ、きっと今から100年後にも今と変わらず読まれ続けているに違いないというドストエフスキー。
この本は危機の時代によく読まれてきた作家だというドストエフスキーが残した以下の5つの長編小説を解説したものである。
1. 『罪と罰』
2. 『白痴』
3. 『悪霊』
4. 『未成年』
5. 『カラマーゾフの兄弟』
作品の中に潜む〈生き抜くためのヒント〉を一緒に探していきましょう。
冒頭で佐藤優氏からのこのようなメッセージを受けて読み始めた。
講演を活字化したものであるため、ロシアの歴史やキリスト教に対する知識がない私であっても佐藤優氏の講演を聴いているような感覚でテンポ良く読み進めることができた。
なぜドストエフスキーが生誕から200年経った今でも世界中の人びとに読まれているのか。そして、どのような想いを込めてこれらの作品を書いたのか。
普通にドストエフスキーの作品を手に取って読んだだけでは窺い知ることのできないそれぞれの作品の奥深さに触れた上で、ロシア人の、ひいてはプーチンの描く世界観についても理解を深めることができた。
この本の内容を踏まえた上で改めてドストエフスキーの作品を手に取って読んでみたくなった。
▼作品データ
<タイトル>
・生き抜くためのドストエフスキー入門
ー「五大長編」集中講義ー
<著者>
・佐藤優
<発行年>
・2021年
<発行所>
・株式会社新潮社