失ってみてその大切さを思い知らされる

この映画を観て自分の奥さんを、そして、親を大切にしようと思った。決してみくびったり、貶めたりしないようにしようと固く心に誓った。

 

普段はそこにいるのが当たり前でほとんど意識することもなく、時にはその存在を煩わしく感じてしまうこともあるが、自分のことを大事に思ってくれる人がいるということは決して当たり前のことなのではないのだとこの作品に教えてもらった。

 

おそらくこの作品はこれから何度も見返すことになるだろう。

 

●作品データ

<タイトル>

永い言い訳

<製作国>

・日本

<公開年>

・2016年

<上映時間>

・2時間4分

<原作・脚本・監督>

西川美和

<出演>

本木雅弘(衣笠幸夫・津村啓)

竹原ピストル(大宮陽一)

藤田健心(大宮真平)

・白鳥玉季(大宮灯)

<評価>

★★★★☆

【映画】ザ・タウン


●作品データ
<原題>
・The Town
<製作国>
アメリ
<公開年>
・2010年
<上映時間>
・2時間4分
<監督>
ベン・アフレック
<原作>
・「強盗こそ、われらが宿命」チャック・ホーガン
<出演>
ベン・アフレック(ダグ・マクレイ、強盗団のリーダー)
レベッカ・ホール(クレア・キージー、銀行の支店長)
ジョン・ハム(アダム・フローリー、FBI捜査官)
ジェレミー・レナー(ジェームズ・"ジェム"・コフリン、強盗仲間)
ブレイク・ライブリー(クリスタ・コフリン、ジェムの妹、ダグの元恋人)


●あらすじ
舞台はボストンの一角で肉体労働者の街、チャールズタウン。銀行強盗と現金輸送車強盗が世界で一番多い街である。

この街では銀行強盗は職業のように父から子へ受け継がれていく。そんな街で主人公のダグも仲間たちとともにケンブリッジ銀行を襲っていた。

すべてが計画通りに順調に進んでいた。あとは盗んだ金を持って逃げるだけだった。だが、金庫を開けた支店長のクレアがダグたちの目を盗んで無音警報を鳴らしたため、包囲された時の人質として例外的に支店長のクレアを連れて逃げることなった。

免許証を取り上げて人質となった支店長のクレアを解放したものの、ダグの仲間のジェムは彼女がFBIに何かを話すのではないかと気が気でない。

苛立つジェムを落ち着かせるためにダグがクレアの監視を申し出る。最初は遠くから見守るだけのつもりだったのだが、コインランドリーでクレアから話しかけられたのをきっかけにダグはクレアから銀行強盗に遭った話をされる。

一方、FBIのアダムは執拗な捜査でダグたちこそがケンブリッジ銀行を襲った犯人ではないかと疑いの目を向ける。

銀行強盗の話を聞いているうちにダグはタウンの外から来たクレアに徐々に惹かれていく。そして、ジェムの心配は杞憂ではなかった。クレアは強盗の1人の首筋に「ファイティグ・アイリッシュ」のタトゥーが入っているのをしっかりと目撃していたのだった。

クレアに惹かれていくダグ。クレアの車を壊した男たちの話を聞いたダグはジェムと一緒に車にガラス瓶を投げつけた男たちを叩きのめす。

アダムは捜査が進むに連れてダグたちこそが銀行強盗の犯人だという確信を深めていく。

ダグとクレアが食事をしているところにたまたまジェムがやってくる。ダグはクレアがジェムの首のタトゥーに気が付くのではないかと気が気ではない。とっさの判断で何とかクレアに気付かれずに済んだダグだったが、ジェムから「どういうつもりだ。俺たちを売るつもりなのか」と詰め寄られ、次のヤマの準備を急かされてしまう。

刑務所にいる父親に面会しに行くダグ。「なぜ母親がいなくなった時に捜さなかった」と尋ねる息子に対して「そもそも捜すものがなかった」とはぐらかす父親。

辛くも次のヤマである現金輸送車強盗をやり遂げたダグとその仲間たち。だが、これをきっかけにアダムの追求はさらに執拗さを増して行く。やがて盗聴した携帯電話の会話からダグがクレアと会っていることを突き止めるアダム。ついにアダムはクレアにダグこそがあの時金庫を開けさせた張本人なのだと告げる。

一方その頃ダグはジェムから新しいヤマを持ちかけられていた。もう強盗はせずにこの街を出て行きたいと言うダグに対して必死に引き止めるジェムだったが、ダグはジェムを振り切り強盗の元締めのファーギーの花屋へ赴き、紹介されたヤマを断ろうとする。

断ろうとするダグに対して「お前の父親も俺に逆らったからお袋にヘロインを覚えさせたのだ」と告げるファーギー。「お前の母親はヘロイン中毒になって道で首を吊ったのだ」とダグに衝撃の事実を告げる。さらにクレアに危害を加えることをちらつかせて脅しをかけるファーギー

急いでクレアの元へ駆けつけるダグ。だが、FBIからダグの話を聞いたクレアはダグの話に耳を貸そうとはしない。ダグは渋々ファーギーのヤマをを引き受けることにする。

ファーギーのヤマとはレッドソックスとメッツの4試合分の売上金350万ドルをフェンウェイ・パークから盗み出すという計画だった。

何とかダグたちの逮捕の糸口をつかみたいアダムはジェムの妹でダグの元恋人でもあるクリスタに近付く。アダムからダグがクレアにダイヤのネックレスを贈られたことを教えられ嫉妬に駆られるクリスタ。ダグに直接会って問い詰めてみたものの相手にすらされない。

計画通りに売上金を盗んで球場を出ようとするダグたち。だが、クリスタの密告によって球場の周りは大勢の警察たちに囲まれていたのだった。

激しい銃撃戦の末、ダグとジェムは警察官に扮して球場の外へと逃げ出す。だが、ジェムはアダムに見つかってしまい命を落としてしまう。

ジェムが撃たれるのを目撃したダグはファーギーの花屋に向かい子分のラスティとファーギーを撃ち殺す。

クレアに無事を告げて街を去るダグ。クレアが花畑を掘ると中からダグから送られた手紙とお金が出てきた。「君なら有効に使える」というダグの言葉通り、クレアはそのお金でスケート場を再建する。

そして、ダグは遠い街で一人、クレアとの再会を願うのであった。


●感想
悲しくて切ないラブストーリーだった。これまで数々の犯罪に手を染めて来た男が街の外から来た女性と出会い、過去のしがらみをすべて断ち切って街の外での彼女との新しい生活を夢見て奮闘する様子が描かれる。

圧巻だったのはジェレミー・レナーの演技。絶対に敵には回したくないが、味方にしたらこんなに心強い男はいない。情には厚いが、自分と仲間のためには手段を選ばない。そんな男を圧倒的な存在感で演じていた。

個人的にはクレアを演じたヒロインのレベッカ・ホールよりもクリスタを演じたブレイク・ライブリーの方が夫のライアン・レイノルズがうらやましくなるくらい素敵だった。

【バラエティ】あいの里

あいの里 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト



職場の女の子から面白いと言われたので観てみることにした。私は基本的に他人の恋愛にあまり興味がないのでかつて話題になった「あいのり」や「テラスハウス」などの所謂「恋愛バラエティー」も今まで観たことが無かったのだが、職場の女の子が顔を合わせるたびに勧めてくるので観てみることにした。


この作品も同じような類の作品かと思っていたのであまり積極的に観る気持ちにはならなかったのだが、せっかく勧められたので触りだけでも観てみようという気持ちで観てみたら結局全部観てしまった。


この作品はさまざまな経歴を持つ35歳以上の男女が、古民家での共同生活を通じて人生の最後のパートナーを探しに奮闘する番組である。


この「さまざまな経歴を持つ35歳以上」というのが重要なポイントで世間的に言うと「いい歳をした大人」たちが自分の感情をむき出しにして意中の相手にストレートに自分の気持ちを伝えようとする様子は観ていて新鮮だった。


共同生活の序盤を盛り上げたのはハリウッド。相手の気持ちは気にせずにただただ自分の想いだけで突っ走る姿は恋愛経験のあまりない私から見ていても全くうまくいく予感がしなかったが、案の定、1人で突っ走って早々に撃沈した。


ハリウッドが里を去った後に加わった隼平。そして、彼に恋焦がれるおかよ。おかよの隼平に対する実直な想いには素直に感動した。


酒ちゃんから最初は恋愛対象として見られていなかったトッちゃんだっだが、自分の気持ちをストレートにぶつけて少しずつ相手を自分の方へ振り向かせていく様子は何が何でもパートナーをつかみ取ってやるという執念みたいなものを感じた。


たあ坊とゆうこりんの恋はくっつくべくしてくっついた美男美女のカップルだったのであまり感情移入できなかった。


最後を盛り上げた中さんとみな姉の恋。60歳だという中さんのはしゃぎっぷりが最初は見ていてかなり痛々しい感じがしたが、みな姉に想いを寄せる沼ぴぃに対しても終始ジェントルマンとして正々堂々と接する姿がとても好感が持てた。


残念だったのはトモちんやベイブルなど終盤から加わったメンバーたちの見せ場がほとんど無かったこと。もっと彼らのあいの里での生活を見たかった。


●作品データ
<エピソード数>
・18エピソード
<出演>
・田村淳(MC)
ベッキー(MC)
・トッちゃん(セラピスト、小学校6年生の男の子と暮らすシングルマザー)45歳 結婚歴1回 兵庫県出身
・ハリウッド(俳優)51歳 結婚歴1回 京都府出身
・おかよ(コンビニ店員)39歳 結婚歴1回 大阪府出身
・たあ坊(青年実業家)35歳 結婚歴なし 福岡県出身
・ユキえもん(カフェ店員)45歳 結婚歴なし 愛知県出身
・みな姉(絵本作家、細山君のお母さん)60歳 結婚歴2回 大阪府出身
・じょにい(心理学者)60歳 結婚歴なし 東京都出身
・アンチョビ(イタリアンシェフ)46歳 結婚歴なし 東京都出身
※エピソード5から参加
・隼平(内装会社経営、元「あいのり」メンバー)42歳 結婚歴なし 静岡県出身
・酒ちゃん(IT企業の役員)46歳 結婚歴なし 千葉県出身
ゆうこりん(ヨガインストラクター)36歳 結婚歴なし 佐賀県出身
※エピソード9から参加
・中さん(大家業)60歳 結婚歴1回 長崎県出身
※エピソード13から参加
トモちん(くびれトレーナー)38歳 結婚歴1回 千葉県出身
・沼ぴぃ(アニメプロデューサー)41歳 結婚歴なし 神奈川県出身
※エピソード16から参加
・ベイブル(イベント演出家)40歳 結婚歴なし 静岡県出身

【本】「音楽は自由にする」坂本龍一

サンデーモーニングの「風をよむ」で今年の3月に亡くなった坂本龍一さんを追悼している回を見たことがこの本を読むきっかけだった。


newsdig.tbs.co.jp


実は亡くなったというニュースを目にするまで私はあまり坂本龍一という人物にほとんど関心を抱いていなかった。もちろん、日本が誇る世界的な音楽家であるということは知っていたが、私にとって坂本龍一という人は昔のリゲインのCMで「energy Flow(エナジー・フロー)」をひいていた人というくらいの認識しかなかった。


だが、サンデーモーニングの「風をよむ」を見て後悔した。もっと生前の坂本龍一という人に関心を持ってその動向に注目しておくべきだった、というのがこの本を読んでみようと思ったきっかけだった。


この本は坂本龍一さんが幼少期の物心がついたぐらいの頃から2000年代始めぐらいまでの出来事を自らの言葉で語り振り返ったものである。


この本を読みながら私が感じたのは坂本龍一という人が楽家になるためにこの世に生まれてきた人なのだということだった。大げさな言い方をさせてもらえれば坂本龍一という人は神様から楽家になるという明確な使命を受けて命を与えられたのだということ。私にはそうとしか思えなかった。


この本を読めば家族も含めた彼に関わるすべての人や周囲での出来事が彼を楽家にするためだけに存在しているのだということがよくわかる。また、楽家としての活動の傍らで取り組んできた環境問題などの社会的な活動についても、自らの意志で積極的に関わっているのではなく、周囲との関わりの中で取り組むことになったのだということもわかった。



神様から明確な使命を受けてこの世に生を与えられた人の人生は周りの人に鮮烈な印象を与える。この本を読めば坂本龍一という人が「世界のサカモト」になるためだけにこの世に生まれてきたということがよくわかるはずだ。


●作品データ
<発行年>
・2009年
<著者>
坂本龍一
<発行元>
・新潮社


【映画】「フラッシュ」


あのトム・クルーズが自宅で試写会をした後、監督に電話をかけて絶賛したというニュースも話題になった。


ロケットニュース24のライターである佐藤英典さんも「最高」としか言いようがない!と大絶賛していた。


DCEU(DCエクステンデッドユニバース)がジェームズ・ガン体制になって最初の作品。期待していたほどではなかったが、そこそこ面白かったというのが私の率直な感想だった。


冒頭からこれまでのスナイダーバース版のファンに対する配慮が十二分に感じられた。そして、このままベン・アフレックバットマンを観ていたいと思った。これまでの作品をきちんと踏まえた上でちゃんとこれからの作品を作っていきますよ、というジェームズ・ガンの宣言のようにも思われた。


ただグラント・ガスティンのドラマ版「フラッシュ」を観ている人なら正直、話自体は特段目新しい感じはしないと思う。むしろ、ドラマ版を観ている人なら「前にも同じような話を観たことがある」と思ってしまうはずだ。私もドラマ版の焼き増しのような話に終盤は少し退屈してしまった。


マイケル・キートンバットマンは良かった。老体に鞭打ってと言ったら失礼かもしれないが、ティム・バートン版そのままにたたずまいもガジェットもちょっとくたびれた感があるものの、締めるところはビシッと締めると言った感じでベテランの味を醸し出していた。


で、エズラ・ミラーのフラッシュなのだが、「ジャスティス・リーグ」の時はほかにもメインキャストがいたのであまり気にならなかったが、今回は、しかも2人もいたので違和感しか感じなかった。


私が思うにエズラ・ミラーはヒーローをやるには癖が強過ぎるのだ。甲高い声、自己完結する話し方、キョロキョロと落ち着かない視線、ベビーフェイスなのにマッチョと彼をヒーローと呼ぶには違和感があり過ぎるのである。それだけが残念だった。


とりあえず、これまでの作品をチャラにした上での仕切り直しの作品としては良かったと思う。


次のバットマンは誰が演じるのだろう。もうベン・アフレックバットマンが観られないのが寂しい。


あれ?ということはジェシー・アイゼンバーグレックス・ルーサーももう観られないということなのだろうか……


●作品データ
<原題>
・The Flash
<製作国>
アメリ
<公開年>
・2023年
<上映時間>
・2時間14分
<監督>
・アンディ・ムスエキティ
<出演>
エズラ・ミラー(フラッシュ、バリー・アレン
サッシャ・カジェ(スーパーガール、カーラ・ゾー=エル)
マイケル・キートンバットマンブルース・ウェイン
・カーシー・クレモンズ(アイリス・ウェスト)
マイケル・シャノン(ゾッド将軍)