【映画】42 世界を変えた男 - いつも読書とシネマ

原題の「42」はこの番号をつけていた黒人初のメジャーリーガーであるジャッキー・ロビンソンの栄誉を称え、メジャーリーグ全球団共通の永久欠番となっている。

ジャッキー・ロビンソンがメジャーリーグのブルックリン・ドジャース（※現在のロサンゼルス・ドジャース）で初めてプレーしたのは1947年4月15日。

メジャーリーグではこの日を「ジャッキー・ロビンソン・デー」としており、この日の試合はすべての選手が背番号「42」をつけてプレーする。

ジャッキー・ロビンソンがプレーするまでメジャーリーグの登録選手はすべて白人だった。それまでは黒人を始めとする有色人種の選手たちはメジャーリーグでプレーすることは許されていなかったのである。

もし、ジャッキー・ロビンソンがいなかったら日本人メジャーリーガーが誕生することもなかったのかもしれない。

そんなことを考えてしまう映画だった。

残念ながらこの映画はジャッキー・ロビンソンのメジャーリーグでの華々しい活躍を描いた作品ではない。
むしろその逆で彼がいかに過酷な状況の中で野球をしていたのかを描いた映画である。

冒頭から目を覆いたくなるような、耳を塞ぎたくなるようなシーンの連続だ。
人間は肌の色が違うというだけで同じ人間に対して、ここまで憎しみを持ち、その人間性までも否定するような心無い言動ができるものなのだろうかと暗澹たる気持ちになった。

この映画はとにかく嫌な奴ばかり出てくる。
よくぞ、黒人という理由だけでここまで理不尽な言い掛かりをつけられるものだと関心するくらいの嫌な奴が本当にたくさん出てくる。

私がジャッキー・ロビンソンがすごいと思うのは、黒人初のメジャーリーガーということでなく、自分を取り巻くその過酷な環境に屈することなく、ただ黙々とプレーを続け、その上でチームの優勝に貢献する成績を残したことである。

この映画を観れば、なぜメジャーリーグの選手たちが毎年4月15日に背番号「42」をつけてプレーしているのかがよく分かる。

まだブラックパンサーになる前の若々しい、そして、今は亡きチャドウィック・ボーズマンの演技も素晴らしい。

▼作品データ
＜原題＞
・42
＜製作年＞
・2013年
＜製作国＞
・アメリカ
＜監督＞
・ブライアン・ヘルゲランド
＜上映時間＞
・128分
＜出演＞
・チャドウィック・ボーズマン（ジャッキー・ロビンソン）
・ハリソン・フォード（ブランチ・リッキー）
・ニコール・べハーリー（レイチェル・ロビンソン）
・クリストファー・メローニ（レオ・ドローチャー）
・アンドレ・ホランド（ウェンデル・スミス）
・ルーカス・ブラック（ピーウィー・リース）
・ハミッシュ・リンクレイター（ラルフ・ブランカ）
・ピーター・マッケンジー（ハッピー・チャンドラー）
・トビー・ハス（クライド・スークフォース）
・マックス・ゲイル（バート・ショットン）
・ジーノ・アンソニー・ペシ（ジョー・ガラジオラ・シニア）
・ライアン・メリマン（ディクシー・ウォーカー）
・ブラッド・バイアー（カービー・ヒグビー）
・ジェシー・ルケン（エディ・スタンキー）
・アラン・ティデュイック（ベン・チャップマン）
・ジョン・C・マッギンリー（レッド・バーバー）
・C・J・ニコースキー（ダッチ・レナード）
・ブレット・カレン（クレイ・ホッパー）
・T・R・ナイト（ハロルド・パロット）