タイトルの「L.A.コンフィデンシャル」は訳すと「ロス市警の公にできない秘密」。
犯罪小説で知られる「アメリカ文学界の狂犬」と呼ばれているジェームズ・エルロイが著した「L.A.四部作」と呼ばれるシリーズのひとつを映画化したこの作品は1950年代のロサンゼルスの混沌とした雰囲気の中でタイトル通りの大人の汚い世界を描いた作品だった。
この作品はロス市警の互いに主義主張の異なる3人の刑事が最初はそれぞれ反発しあいながらもある殺人事件の捜査を通して、その背後にある警察内部の腐敗に立ち向かっていくという物語である。
この作品が出世作となったラッセル・クロウは「熱血漢」と言った感じの刑事を熱演している。まさに「俺がルールだ」と言った感じで自白を取り付けるためなら暴力に訴えることも厭わず、悪い奴だと思ったら迷わず引き金を引く。
ガイ・ピアーズ演じるエリート刑事は強い正義感を持ちながらも、一方で処世術に長けており、抜け目のない上昇志向の強い人物だ。
ケビン・スペイシー演じる悪徳刑事は人気刑事ドラマの顧問を担当しながらも、一方で記者に捜査情報を流して裏金を受け取っている。だが、根っからの悪人にはなれないと言った感じだ。
これら3人の刑事たちがあるコーヒーショップで起きた残虐な殺人事件の捜査を進めていくうちに「ロス市警の公にできない秘密」に足を踏み入れて行き、やがて警察内部にいる犯人たちと対決することになる。
この映画は鑑賞後に爽快感を感じることはないだろう。そして、「本当のことが必ずしも正しいことだとは限らない」ということを教えてくれる映画だ。
▼作品データ
<原題>
・L.A. Confidential
<製作年>
・1997年
<製作国>
・アメリカ
<監督>
・カーティス・ハンソン
<上映時間>
・138分
<出演>
・ケビン・スペイシー(ジャック・ビンセンス)
・ラッセル・クロウ(バド・ホワイト)
・ガイ・ピアーズ(エド・エクスリー)
・ジェームズ・クロムウェル(ダドリー・スミス)
・キム・ベイシンガー(リン・ブラッケン)
・ダニー・デービット(シド・ハッジェンス)
・グレアム・ベッケル(ディック・ステンズランド)
・デビット・ストラザーン(ピアース・モアハウス・パチェット)
・ロン・リフキン(エリス・ローウ地方検事)