【映画】セブン


この映画を初めて映画館で観た時の衝撃は強烈だった。

何の予備知識も無く「ブラピが出るから…」というそれだけの理由で映画館へ足を運んだのだが、話に引き込まれて観ていたいのだがスクリーンを直視できないようなシーンの連続だった。

そして、おそらく映画史に残るであろうあのラストシーンの「神よ!」と叫びながら苦悶の表情を浮かべるブラピの姿が観賞後もなかなか頭から離れなかった。

さらに衝撃的だったのは映画館で買ったパンフレットを読んだ時だ。



この映画の脚本を書いたアンドリュー・ケビン・ウォーカーはNYでタワーレコードの店長をしながら執筆したという記事を読み、職業作家ではない人間が働きながらこのような緻密に構成された物語を書き上げることができるということが信じられなかった。

この映画は1週間後に退職することになっているベテランのサマセット刑事と彼の後任の新人のミルズ刑事がキリスト教7つの大罪をモデルにした猟奇的殺人事件の捜査にあたる7日間を描いた物語である。

7つの大罪をモデルにしたという殺人はとても正常な人間が起こしたものとは思えないほどどれも凄惨なものばかりだ。時に犯人は自ら手を下さず、被害者を極限の状況に追い込み、自ら命を絶つように巧妙に仕向ける。

以前、読んだ本の中で元外務官僚で作家の佐藤優氏が合法的不適切という価値観について述べていた。これは合法的でありさえすれば他人からどう見えようと問題ないという価値観のことである。

被害者たちはいずれもこの合法的不適切という価値観の持ち主たちである。

「罪人に罪を償わせた」

犯人のジョン・ドウは確信に満ちた表情でそう言い切る。

結局、犯人のジョン・ドウが何者なのかも、動機は何だったのかもわからないまま、物語は幕を閉じる。

だが、もし私がミルズ刑事であってもあの状況では絶対に引き金を引いてしまうと思う。

後味は悪いが、何度も見返したくなる、そんな作品だ。


▼作品データ
<原題>
・Seven
<製作年>
・1995年
<製作国>
アメリ
<監督>
・デビット・フィンチャー
<上映時間>
・126分
<出演>
ブラッド・ピット(デビッド・ミルズ刑事)
モーガン・フリーマン(ウィリアム・サマセット刑事)
グウィネス・パルトロー(トレイシー・ミルズ)
・リチャード・ラウンドトゥリー(マーティン・タルボット地方検事)
R・リー・アーメイ(警部)
・ジョン・C・マッキンレー(カリフォルニア)
ケビン・スペイシー(ジョン・ドウ)