【映画】人生の特等席

グラン・トリノ」を最後に俳優の引退を宣言していたクリント・イーストウッドが引退宣言を撤回して4年ぶりに主演したのがこの作品である。

監督のロバート・ローレンツは長年に渡ってクリントイーストウッドの助監督を務めていた人物で今作で念願の監督デビューを果たしたらしい。

だが、この作品以降の監督作品は見当たらない。これはおそらくこの作品が興行的に振るわず、Rotten Tomatoesでの批評家の支持が低かったからだろう。

もし、クリント・イーストウッドが監督していたら違ったテイストの作品になっていたのかもしれない。



人生の特等席 [Blu-ray]


フィールド・オブ・ドリームス」を観た時にも感じたが、アメリカ人はやっぱり「野球」が大好きなんだということがとても良く分かる作品だった。


フィールド・オブ・ドリームス (字幕版)


大リーグのベテランのスカウトが疎遠になっていた自分の娘と旅をしながら、自分の経験と娘の目を頼りにドラフトで指名する優秀な選手を発掘してくるというお話。

ブラピ主演の「マネーボール」とは対極をなすような物語でクリント・イーストウッド演じるベテランのスカウトはコンピュータが大嫌い、というか、多分、触ったことすらないのだろうが、仲間から少しでも使ってみることを勧められると「あんなものを使うのは野球を知らない奴だ」と一喝する。

「運び屋」や「グラン・トリノ」でも魅せてくれたように「アメリカの頑固親父」を演じさせたらクリント・イーストウッドの右に出るものはいない。

この作品でも最愛の妻に先立たれ、それ以来、一人娘のことを大切に思いながらも、素直にその気持ちを伝えられず、逆に関係がギクシャクしてしまった頑固親父を見事に演じている。

エイミー・アダムスの演技もすばらしい。「あの父親にして、この娘あり!」と思わせるほど、負けん気が強いが想いをよせる男性との距離をうまく保つことのできない娘役を見事に演じている。

ただし、話の結末はちょっとお粗末だ。

ドラフトの目玉だった選手が実はカーブが全く打てないバッターで他のスカウトが誰一人そのことに気付いていない中、ベテランのスカウトだけがボールがバットに当たる音だけでそのことに気付いていたとか、

実は泊まっていたモーテル女主人の息子がとんでもないピッチャーで、急遽、公開テストが行われて、その結果、大リーグのチームと契約することになるというとか、

現実ではちょっとあり得ないような話で終わってしまったのにはちょっと拍子抜けしてしまった。

同じスカウトの話ならやはり、前に挙げたブラピの「マネーボール」の方が面白かった気がする。

クリント・イーストウッドエイミー・アダムスの演技だけが見どころといった感じの作品だった。


▼作品データ
<原題>
・Trouble with the Curve
<製作年>
・2012年
<製作国>
アメリ
<監督>
・ロバート・ローレンツ
<上映時間>
・111分
<出演>
クリント・イーストウッド(ガス・ロベル)
エイミー・アダムス(ミッキー・ロベル)
ジャスティン・ティンバーレイク(ジョニー・フラナガン
ジョン・グッドマン(ピート・クライン)
・マシュー・リラード(フィリップ・サンダーソン)