【本】「音楽は自由にする」坂本龍一

サンデーモーニングの「風をよむ」で今年の3月に亡くなった坂本龍一さんを追悼している回を見たことがこの本を読むきっかけだった。


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実は亡くなったというニュースを目にするまで私はあまり坂本龍一という人物にほとんど関心を抱いていなかった。もちろん、日本が誇る世界的な音楽家であるということは知っていたが、私にとって坂本龍一という人は昔のリゲインのCMで「energy Flow(エナジー・フロー)」をひいていた人というくらいの認識しかなかった。


だが、サンデーモーニングの「風をよむ」を見て後悔した。もっと生前の坂本龍一という人に関心を持ってその動向に注目しておくべきだった、というのがこの本を読んでみようと思ったきっかけだった。


この本は坂本龍一さんが幼少期の物心がついたぐらいの頃から2000年代始めぐらいまでの出来事を自らの言葉で語り振り返ったものである。


この本を読みながら私が感じたのは坂本龍一という人が楽家になるためにこの世に生まれてきた人なのだということだった。大げさな言い方をさせてもらえれば坂本龍一という人は神様から楽家になるという明確な使命を受けて命を与えられたのだということ。私にはそうとしか思えなかった。


この本を読めば家族も含めた彼に関わるすべての人や周囲での出来事が彼を楽家にするためだけに存在しているのだということがよくわかる。また、楽家としての活動の傍らで取り組んできた環境問題などの社会的な活動についても、自らの意志で積極的に関わっているのではなく、周囲との関わりの中で取り組むことになったのだということもわかった。



神様から明確な使命を受けてこの世に生を与えられた人の人生は周りの人に鮮烈な印象を与える。この本を読めば坂本龍一という人が「世界のサカモト」になるためだけにこの世に生まれてきたということがよくわかるはずだ。


●作品データ
<発行年>
・2009年
<著者>
坂本龍一
<発行元>
・新潮社